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Risako Tagami

石野研究室 修士課程2年

素粒子物理国際研究センターを選んだ理由は?

高校生の時から宇宙の始まりや成り立ちに興味があったのですが、学部3年の物理学ゼミナールでヒッグス機構や自発的対称性の破れについて学び、その理論の美しさに惹かれたのと、カミオカンデでの研究の話を聞き、宇宙の謎を解く手段として素粒子実験が自分に合っていると考えるようになりました。その中でもエネルギーフロンティアであるLHCに関する実験に興味を持ち、調べていたらICEPPに辿り着きました。修士課程までにゼミがあるなど先生方のサポートが手厚い印象があり自分の成長を見込めたこと、博士課程は実地に行ってATLAS実験に携わる研究ができることも選んだ理由でした。

実際に入ってみてどうでしたか?

修士1年の最初数ヶ月はATLAS実験について深く知るゼミを開催していただき、細かい疑問まで質問できる良い機会となり、以前から聞いていた通りサポートが手厚くて感動しました。先生方だけでなく、修士課程・博士課程の先輩方にも助けていただくことが多く、自分も先輩方のようにならなければと身が引き締まる思いです。
また、修士1年の段階でCERNに行く機会をいただき、実際に検出器を間近で見たりモジュールを設置してテストを行なったりすることができました。実験への理解が深まるだけでなく研究者としての責任感も感じることができ、貴重な機会でした。

学部生のころと比べて、変わったと思う点は?

最も大きく変わったのは生活リズムです。授業が減り、その分ほとんどの時間を研究に費やすようになりました。毎週の研究室ミーティングが良いペースメーカーになっています。
取り組む内容も大きく変わりました。既存の知識を学ぶことに加え、新しいものを生み出すために考える時間が増えました。試行錯誤を重ねる過程は演習問題を解く感覚に近いものの、研究には明確な答えがない分、一層の難しさと奥深さを感じます。

研究は何が楽しいですか?何が大変ですか?

問題を理解して、自分で計画を立てて、解決することができた時が一番楽しいです。ATLAS実験は参加人数が非常に多い国際共同実験ですが、それでも人手が足りていないという印象で、まだまだやられていない仕事が多くあるので、修士1年から「それをやらないとATLAS実験がうまく進まない」というくらい重要な仕事に携われるのも良い部分だと思います。
修士課程に進んでから、ミーティング参加や申請書作成を通じて自分の研究を整理し伝える機会が増えました。より分かりやすく伝えるにはどうすればいいのか、研究の意義を的確に表現するにはどうすべきかなど試行錯誤の連続ですが、研究者として不可欠なスキルだと思うので、日々の経験を通じて磨いていきたいと考えています。

大学院の生活はどんな感じですか?

授業はほぼないので、研究とミーティングでスケジュールが埋まっています。ボードの試験でKEKに行ったり、会議で他の大学に行ったり、出張することも割とあります。昨年度はCERN Summer Student Programmeに参加させていただいたのと、Year End Technical Stop中の出張で2回CERNにも行かせていただきました。

将来は?

今は博士課程に進学し、そのあとはアカデミアへ進むことを考えています。海外でポストを手に入れられたらベストです。ただ、完全に決めてはいなくて、博士課程での解析の楽しさやどのくらい今後の物理に望みがあるかに依存しています。物理の発展を間近で経験でき、うまくいけば宇宙の謎を解く鍵を誰よりも先に見ることができることが自分にとってかなり魅力的なので、今の所は就職よりアカデミアの方が優勢といった感じです。

素粒子物理国際研究センターを目指す学部生にひと言!

ICEPPは最先端の研究ができるだけでなく、温かい雰囲気の中で成長できる環境が整っています。また、ATLASだけではなく他の実験をやっている人も多くいるので、多様な視点を得られますし、自分の興味に合った研究に取り組めると思います。ぜひICEPPの先生方や大学院生に話を聞いてみて、進路の選択肢に加えてみてください。