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素粒子物理学を
志す君たちへ

本センターは、世界最先端の素粒子物理学実験を行なうための研究施設です。1974年の創設以来、日本の中核をなす研究拠点として国際共同研究に力を入れ、2つの軸で素粒子物理学の研究と教育を進めています。

ひとつの軸は、「エネルギーフロンティア」と呼ばれる大型・高エネルギー実験施設での国際共同研究に、日本人研究者が主導権を持って参加することです。2012年7月の、CERNのLHC-ATLAS実験でのヒッグス粒子発見は、その最大の成果です。「エネルギーフロンティア」をさらに切り拓くと期待されるILC計画にも、世界を主導する立場で取り組んでいます。もうひとつの軸は、独自の知見と斬新な発想で研究分野そのものを開拓し、本質的な物理に特化した実験を行なうアプローチです。この系譜に連なるPSIでのMEG実験からは、多くの研究者が育ち、世界を舞台に活躍を見せています。長期・大型の実験プロジェクトが多い素粒子物理の分野では、育成現場にも多様なビジョンが求められます。世界一流の研究者と対等以上に渡り合える人材や、デジタル革新で新しい価値を生み出せる人材を輩出するのも本センターの重要な目標です。学生たちが海外の実験で各国の研究者と切磋琢磨して実践的な力を養う場や、量子ネイティブ育成の場を設けています。包括的な視野を持った研究者やリーダーを育てるため、大学院修士課程以降の学生を受け入れ、指導にあたります。

素粒子物理学の研究は、世界が舞台です。各国の研究者たちとときには競争し、ときには手を取り合いながら、研究力とともに人間力を磨く「最高の学び場」が、ここにはあります。日本の、そして世界の素粒子物理学の次代を担う気概を持った君たちの、果敢な挑戦を心待ちにしています。

東京大学素粒子物理国際研究センター長

浅井 祥仁