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Yuichiro Hayashi

奥村研究室 博士課程2年

素粒子物理国際研究センターを選んだ理由は?

ICEPPガイダンスがきっかけで、LHC-ATLAS実験が標準模型を超える様々な新物理(超対称性や余剰次元等)にアクセスできる実験であり、ヒッグス粒子を直接生成できるのは世界最高加速器LHC以外にないことを知り、興味を持ちました。また就職した際に役に立つスキル(プログラミングや英語やプレゼン能力)を磨きやすい環境に身を置けるのも魅力的でした。またICEPPは様々な実験に参加する教員や学生が多く、教育体制が充実しているのも特徴的でした。

実際に入ってみてどうでしたか?

非常に手厚い教育体制が整っており、また優秀なスタッフ、学生に囲まれて研究できる環境であると実感しました。入学直後はATLAS検出器とりわけ研究対象のTGC検出器の基礎から講義が始まり、プログラミングで詰まってしまった際も熱心にサポートしていただけました。研究では大きな課題に何度もぶつかりましたが、その都度TGCグループの皆さんに相談することで乗り越えることができました。また憧れのCERN現地での研究は非常に刺激的で、博士課程に進学して良かったと思っています。

学部生のころと比べて変わったと思う点は?

大規模な国際共同実験のため、多くの研究者と協力して実験を進めることになります。TGCグループでの現状を把握し、優先課題を考えて効率的に試験を進めています。また、世界各国の研究者が集まる研究の最前線に参加できます。私の開発したツールは、TGC検出器を用いたトリガーシステムをモニターするもので、Run3実験開始前までに故障箇所を洗い出し、ハードウェアの交換作業等を行ないました。また実験の合間に用いられた際にはシステムを監視し、その結果をもとに検出器のパラメータを更新する際にも使われているため、実験遂行に大きく関わるものとなっています。

研究は何が楽しいですか?何が大変ですか?

この研究で一番面白いのは、実際に自分のコードでハードウェアや検出器等の“もの”が動いていたのを見ることだと思っています。修士課程の間は日本から遠隔でATLAS 検出器を制御し、動作試験を行なっていました。動作試験は欧州との時差の関係で深夜作業が基本で、またRun3開始が近づく中で大変でしたが、多くの問題箇所を洗い出し、交換等を行なって実験準備を進め、Run3開始後のビームで正常に動作していることを確認できた時は非常に感動しました。Run3開始後はCERNの現場で参加でき、間近かにデータ取得の様子を見ることができるのも面白いです。

大学院の生活はどんな感じですか?

修士課程の1年目はコロナ禍のため、あまり登校することはありませんでしたが、2年目以降は自由に登校できるようになり、多くの同期と対面で研究できたのは非常に楽しかったです。実験の話題から就活や日常のことについて話し合える仲間がいたからこそ、楽しく大学院生活を送ることができています。また他大学の方とともにKEK(つくば)に対面で集まって研究する機会があり、コロナ禍の中でも共同研究の醍醐味を知りました。博士課程では、憧れのCERNでの研究が始まり、国際色あふれる研究環境を満喫しています。

将来は?

修士・博士課程で培ったスキルを持って就職し、社会の役に立てれば良いなと考えています。物理解析研究では、様々な業種で役に立つビッグデータ解析、機械学習等を行なうことになります。修士課程での検出器研究で得た知見に加えて、博士課程で進めている素粒子実験解析を通じて総合的な視野を拡げ、将来社会に還元できることを目指しています。

素粒子物理国際研究センターを目指す学部生にひと言!

ICEPPでは、卓上実験から大規模実験まで参加することができます。またビッグデータの解析、機械学習といった実社会での応用が進む技術を学べるとともに、量子コンピューティング技術の研究も行なうことができ、本当に幅広い研究分野に跨った研究環境があります。手厚いサポート体制があるため、素粒子実験・プログラミング初学者でもすぐに研究の最前線に立つことができます。様々な新物理理論が提唱される中、どれが残るのかそれを決定づけるのは実験です。一緒に研究できることを心待ちにしています。