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Kaito Sugizaki

奥村研究室 博士課程3年

素粒子物理国際研究センターを選んだ理由は?

自ら素粒子実験に参加することで、宇宙の起源に迫りたいと前から思っていました。それができる研究室を各大学の大学院進学ガイダンス案内で探し、ICEPPに訪問した際、今の指導教員である奥村先生に直接話しかけたのがきっかけでした。ICEPP全体の厳しくも温かな雰囲気と奥村先生の人柄に惹かれ、「ここしかない」と確信し、進学を決意しました。

学部生のころと比べて変わったと思う点は?

学部では素粒子理論を専攻していました。当時は、一人で研究を進めて理解を深めることが多く、孤独を感じることもありました。一方、大学院で取り組んでいるLHC-ATLAS実験ではチームで一丸となって研究を遂行することがとても重要で、今は各研究室の枠を超えて、ICEPP全体やATLAS日本グループの他大学・研究機関、更には海外の研究者の方とも協力して研究を進められるので、とても賑やかです。スタッフの方とのコミュニケーションも頻繁に取れるので、滞りなく研究を進められる環境が整っています。

研究の楽しさと大変さは?

私は主に2つの研究課題に取り組んでいます。修士課程から進めているミューオントリガーシステムの開発・運転研究では、2022年7月に開始したLHC-ATLAS実験Run 3で安定してデータを取得するために、自ら開発した統合制御ソフトウェアを駆使し、システムの管理や改善を最前線で進めています。博士課程から本格的に取り組み始めた物理解析の研究では、超対称暗黒物質の探索に用いる信号粒子を特定するための識別器の開発、及びそれを用いた探索感度の改善研究を進めています。データ収集には欠かせない検出器システムの開発から、そのデータを用いて物理の結果を出すための研究までを一貫して進めることができていることに日々やりがいを感じており、充実した研究生活を過ごせています。検出器システムの改善や運転および物理解析を両立するのは時間的に難しいこともありますが、エネルギーフロンティア実験に様々な側面から貢献できていることは、とても貴重な体験だと感じています。

大学院の生活はどんな感じですか?

修士課程1年の夏から1~2ヶ月単位で3回、研究拠点があるスイスのCERNに出張しました。実際に現場に行って、自分が日本から操作していた機械を間近に見ることができ、その壮大さに圧倒されました。休日はジュネーブ市内を観光するなどして、充実した出張生活を送ることができました。コロナ禍では日本でオンラインツールを駆使し、指導教員や研究チームのメンバー、CERNの研究者と積極的にコミュニケーションを取りながら研究を進めました。博士課程では2年間ほどCERNに長期滞在して、現地でRun 3の運転研究と超対称暗黒物質をターゲットとした物理解析研究に取り組み、国際的な環境の中で研究に没頭していました。現在は日本に戻り、学位取得に向け物理解析の仕上げ、及び論文の執筆に注力しています。

素粒子物理国際研究センターを目指す学部生にひと言!

ICEPPでは現在進行中の国際共同実験での研究から10年・20年先の将来計画を切り拓く技術開発まで、最先端の素粒子実験研究がいくつも進行しています。スタッフも学生も多く、実験プロジェクトや立場に関係なく自由闊達に議論し、新しい物理やテクノロジーを切り開くマインドが常に息づいています。ミューオントリガー、ATLAS実験、素粒子実験全般に興味がある方は、是非、私や奥村先生、他の先生方に話を聞いてみることを強くお薦めします。