活動報告

国際共同実験に挑む学生のスタートアップ、ATLAS 夏の学校 2021

ATLAS 夏の学校 2021

素粒子物理国際研究センターでは、コロナ禍以前の2019年度まで夏休み期間を利用して修士課程大学院学生を欧州合同原子核研究機構(CERN)に派遣し、検出器・物理解析・計算機など幅広い分野の専門家による講義や各国の研究者・学生との交流を通じて、さまざまな知識・経験、研究意欲、国際感覚を養う「ATLAS 夏の学校」を開催してきました。
COVID-19の影響により2020年度はオンラインを取り入れた新しい教育プログラムを初めて実施しましたが、2度目の2021年度は欧州と東京にある2拠点の特性や利点をさらに引き出し、7月下旬と8月下旬の2ブロック・11日間にわたって対面とリモートのハイブリッド形式で、ATLAS実験全教員による総時限数27コマ(1コマ105分)に及ぶ特別講義シリーズを開講しました。また9月下旬には、学生自身の研究成果の発表機会として研究発表会を開催しました。ATLAS 夏の学校のプログラムには15人の博士・修士課程の大学院学生が積極的に参加し、期間中のプログラムを完遂しました。

レクチャー等

学校初日は全体のガイダンスと講師陣・学生の顔合わせより始まり、現地にいる教員3名が実験装置や施設内の映像をライブ中継しながら解説する「ATLAS実験室バーチャルツアー」(右下写真)を実施しました。リアルタイムで実験室での研究の様子を現場の研究者とインタラクティブな議論をすることで刺激を受け、「来年はCERNに行き、本物の実験装置を前にして研究したい」と気持ちを新たにした学生も多かったようです。

夏の学校初日

2日目以降は、さまざまなアプローチで素粒子研究の知識を深めるカリキュラムが続きました。加速器・検出器関連(ガス(飛跡)検出器+カロリメータ、固体(飛跡)検出器、光検出器、トリガー・DAQ、ハドロンコライダーのQCD、エレクトロニクス)から、解析関連(データ解析・イベント再構成、統計解析、SUSY、ヒッグスの物理・論文解説)、理論研究・量子・AI関連(場の理論入門、量子コンピュータを使った場の量子論のシミュレーション、量子計算技術、機械学習)にいたる各レクチャーが、それぞれの分野を得意とする14名の教員により開講されました。最先端の素粒子実験研究に直結する、普段の大学院の授業とは一味違った講義内容で、研究者として必要となる幅広くかつ専門的な知識を習得しました。

研究発表会

9月下旬には夏の学校の最後のイベントとして、参加学生が自分の研究内容を発表し、他の仲間や教員と議論する場として研究発表会を一日かけて開催しました。高エネルギー物理の同じフィールドで幅広いトピックを探求する共同研究者に、研究の意義・成果や、自身の意見を正確に分かりやすく伝え、質疑応答等で対話するスキルを磨く貴重なトレーニングになりました。自身の発表に加えて他の学生の発表を真剣に聞き、積極的な質問等を通じて、質の高い物理の議論を楽しみました。

研究発表会