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修士2年の大矢淳史君が「3rd International Conference on Charged Lepton Flavor Violation(cLFV2019)Best Poster Prize」を受賞

スーパーカミオカンデによるニュートリノ振動現象の発見(本学の梶田隆章特別栄誉教授が2015年ノーベル物理学賞を受賞)で明らかになった世代間の遷移現象は、ニュートリノの仲間である電子やミュー粒子でも起こることが予想されています。その現象は素粒子の「大統一理論」とも密接に関係し、その研究は「レプトンフレーバー物理」と呼ばれ、世界的に高く注目されている分野です。
第3回目を迎えた国際会議cLFV2019には約80名の研究者と大学院生が参加し、荷電レプトンフレーバーの破れの理論的な状況を検証し、最近の実験成果と今後の展望について、理論・実験研究者の間で多くの議論が行われました。福岡大会では初めて、会議全体での功績者に授与する賞が設けられ、最優秀ポスター賞を修士2年の大矢淳史君が受賞しました。

表彰式
オーガナイザーに囲まれ、記念品を手にする本人(写真中央)。

研究課題

Development of ultra-low material RPC for background identification in MEG II experiment

受賞理由

MEG II実験の探索感度向上に繋がる検出器開発の取り組み等が、総合的に高く評価されました。MEG II実験はスイス・ポールシェラー研究所(PSI)で、日本・スイス・イタリア・アメリカ・ロシアの間で国際共同研究として進められている実験プロジェクト(実験代表者:当センターの森教授)で、先行のMEG実験より探索感度を10倍上げる測定器のアップグレードを行い、来年の本格的なスタートに向けて準備を進めています。
大矢君のポスター発表は、MEG II実験の研究概要や開発した輻射崩壊検出器の性能やテスト評価を詳細に分かりやすくまとめたもので、国内外の参加研究者から多くの質問を受けました。

ポスター等
受賞したポスター *ポスターをリンク

感想と今後の抱負

私が取り組む輻射崩壊検出器はMEG II実験のために新開発されたチャレンジングな装置で、これまでに携わった研究者・大学院生が試行錯誤を重ねてきました。発表の際、その取り組みを賞賛していただき、大きな励みになりました。また、国際会議の場で評価を受けたことは大変光栄に思います。
MEG II実験は、μ→eγ崩壊を通じて新物理の発見を目指す素粒子研究で、来年より実験開始の予定です。ミュー粒子輻射崩壊から発生するガンマ線のうち高エネルギーのものはほぼ低エネルギーの陽電子を伴うため、この検出器によって捉えることで輻射崩壊を判別できれば、背景事象を大きく減らせるメリットがあります。今後、PSI現地で研究を推し進め、μ→eγ崩壊の発見、そして新物理の証拠を掴みたいと思います。記念品は、今後の研究に大切に役立てていきます。

リンク

●3rd International Conference on Charged Lepton Flavor Violation(cLFV2019)(関連サイト)