ATLAS実験

ATLAS実験は、CERNに建設された大型ハドロンコライダーLHC(Large Hadron Collider)で行われている陽子陽子衝突実験の一つです。世界35カ国、150に及ぶ研究機関から2,000人を超える研究者が共同で研究をしています。日本からも15大学・研究機関の100名以上が参加しています。

世界最高エネルギーの陽子陽子衝突から生じる様々な粒子を取り残しなく検出する大型の測定器で、全長44m、高さ・幅24m、重さ7,500tあり、1億チャンネルに及ぶセンサーから出来ています。そこからは15秒でDVDをいっぱいにする速さでよどみなくデータが送り出されてきます。

1996年に計画が承認され、10年以上かけて建設されてきました。2010年春から本格運転を開始し順調にデータを蓄積しています。

ATLAS  
ATLAS検出器の概要図。陽子ビームは図の中心部分で衝突します。そこから出てくる粒子を捕まえるために、図に注釈が置かれているようにたくさんの種類の検出器が置かれています。(図提供:CERN)

 

本センターの貢献

本センターは計画承認当初からATLAS測定器の建設に参加してきました。主に前後方部分にあるミューオントリガーチェンバーを、日本・イスラエル・中国の共同で建設してきました。

LHCでは測定器からのデータを世界中の解析センターで分担して解析します。全国共同利用・共同研究拠点である本センターには日本地域の解析拠点となる「ATLAS実験データ地域解析センターシステム」が設置され2007年より運用されています。全国の共同研究者が精力的に本システムを利用しています。

本センターは物理解析の上でも大きな貢献をしています。標準模型の精密検証やヒッグス粒子の探索はもちろん、標準模型を超えた新しい物理から予測される粒子、超対称性粒子などの探索、余剰次元の存在がもたらす小さなブラックホールの探索など、広い範囲にわたって本センターメンバーが活躍しています。

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ATLAS測定器のエンドキャップ部が開かれた状態の写真。右側に茶色く写っている扇形のものがミューオントリガーチェンバーで、本センターが建設に大きく関わりました。(写真提供:CERN)

 

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