最新物理結果について

我々はアトラス実験でこれまでの実験で発見できなかった新粒子や標準理論では説明できない新しい物理現象を発見することを目指しています。

1)理論が予測する全領域で(標準理論)ヒッグス粒子の発見

2)数TeVまでの超対称性粒子の発見

3)量子重力や隠れた高次元空間(余次元)の発見

このページではアトラス実験で得られた物理結果の情報をお伝えいたします。詳しい情報は各論文(無料のプレプリントのリンクを掲載しておりますが、内容は同じです)を参照してください。

2011年

12月(ATLAS実験): 2011年に取得された約2.1fb-1のデータを用いて2対のWボソンに崩壊するヒッグス粒子の探索を行った。 このチャンネルは非常に広い領域(125GeV<ヒッグスの質量<200GeV)でヒッグス粒子に感度が高いため、その兆候を掴む可能性も期待されたが、ヒッグス粒子の兆候を掴むまでには至らなかった。 しかしヒッグス粒子の存在領域に強い制限をつける事に成功し、145GeV<ヒッグス質量<206GeVのヒッグス粒子の存在を棄却した。 To be submitted

11月(ATLAS実験): 2011年に取得された約1fb-1のデータを用いて標準模型で 予測される2つのZボソンが生成される事象における生成断面積を測定した。 標準模型で観測されているプロセスの中で最も生成断面積が低く、この事象の測定は標準模型を越える物理への試金石となる。 また、標準模型を越える物理が存在したときにこのチャンネルでアノーマリー(異常)が観測される事も期待される。 生成断面積は8.5+2.7/-2.3(統計誤差)+0.4/-0.3(系統誤差)±0.3(ルミノシティー 誤差)pbと測定され、 標準模型で予想される6.5+0.3/-0.2と一致していた。 プレプリ

11月(ATLAS実験): ATLAS実験は約1fb-1のデータを用いて終状態に二つの光子と大きな損失エネルギーを持つ非常に特徴的な事象の探索結果を公表した。 このような事象はゲージ伝達型の超対称性の破れが起こっている場合や四次元よりも高次の時空が存在する時に観測できると期待されている。 現在までの観測では信号の兆候は見られていないが、これらの理論模型に対して最も強い制限を与えている。 プレプリ

9月(ATLAS実験): 2011年前期に取得された1fb-1のデータを用いて、終状態に大きな横消失エネルギーと多重ジェット、ならびにレプトンをも持つ超対称性事象の探索を行った。 レプトンを要求することにより比較的クリーンな環境下で解析が行うことが出来、かつ発見感度も十分もっているチャンネルであることから超対称性発見に重要なチャンネルの一つと言える。 残念ながら解析結果は標準模型による予測と無矛盾であった。0レプトンチャンネルの解析と同様、この実験結果は約1TeVスケールの超対称性粒子の存在を否定することになり、非常にインパクトのある結果といえる。 プレプリ

9月(ATLAS実験): 2011年夏までに得られた約1fb-1のデータを用いて、消失横運動量(Missing ET)及びジェットを用いた超対称性(Supersymmetry)粒子の探索を行った。 この論文ではこの内、主要な解析チャンネルである0レプトンを要求した解析結果を記述している。 解析の結果、これまでのところ超対称性粒子の兆候は見られず、標準模型による予測と無矛盾であることが分かった。 この結果、mSugraモデルにおいて既存の制限を大幅に越える1TeV付近の超対称性粒子(グルイーノ、スクォーク)を棄却することができた。 プレプリ

9月(ATLAS実験): 2.1fb-1のデータを用いて下記の"2つの光子"と同様に標準理論で期待されているヒッグス粒子(H)の探索を行った。 この論文では、重い質量領域まで(110-600GeV)探索可能なH->ZZ->4leptonという崩壊の仕方("チャンネル")を利用した。 4つのレプトンが存在するイベントというものは比較的稀なためバックグラウンドが少なく、一般にGold plate channelと呼ばれており、ヒッグス探索にはベストなチャンネルと考えられている。 残念ながら今回もヒッグス粒子が存在する兆候は見られなかった。 この結果から、191-197, 199-200, 214-224GeVという3つの中間的な質量領域については、95%CLの信頼度で標準理論で期待されているヒッグス粒子が存在しないことが分かった。 プレプリ

8月(ATLAS実験): 1.08fb-1のデータを用いて標準理論で期待されているヒッグス粒子(質量の起源)の探索を行った。 この論文では、ヒッグス粒子が2つの光子(two photons)に崩壊する特徴を利用して、質量領域110-150GeVを探索したが、残念ながらヒッグス粒子が存在する兆候は見られなかった。 この結果から、標準理論で予測されている2倍から5.8倍程度の大きさの信号を持つ場合については棄却された。 プレプリ

8月(ATLAS実験): 2011年夏までに得られた約1.1fb-1のデータを用いて、標準模型ゲージボソン(W/Z)より質量の高いゲージボソン(W'/Z')の探索を行った。 荷電レプトン(電子とミューオン)・ニュートリノ対に崩壊するモードと荷電レプトン対に崩壊するモードそれぞれについて、標準模型バッググラウンドの予想との比較を行ったが重いゲージボソンの兆候を見つけることはできなかった。 この結果からW'/Z'ボソンの生成断面積(崩壊分岐比を含む)に対する上限値が得られ、重いゲージボソンに対する質量の下限値として95% CLで2.15 TeV(W')と1.83 TeV(Z')を得ることができた。 プレプリ, プレプリ

8月(ATLAS実験): 2つのジェットへと崩壊する新粒子の探索はデータ量の増加とともにアップデートが継続して行われてきた。 2011年夏の時点で得られた約1fb-1のデータを解析した結果、新しい粒子の発見には至らなかったが粒子の質量に対する制限を大幅に改善することができた。 2ジェット質量にして約4TeVまでの事象が観測されたことで、過去のコライダー実験では全く未踏の領域に入ってきたことが分かる。 Excited quarkに対する質量下限値として2.99TeVが得られ、またAxigluonやColor octet scalerなどの異なるモデルから予想される粒子に対する制限も新たに得られた。 プレプリ

7月(ATLAS実験): 2010年に得られた35pb-1のデータを用いて、タウレプトン対に崩壊するヒッグス粒子の探索を行った。 標準理論で予想される事象数は非常に少ないが、超対称性理論が拡張するヒッグス模型に関して発見の期待が高かった。 しかし、観測された事象からヒッグス粒子が存在する兆候は確認されなかったため、超対称性ヒッグス粒子の生成断面積等のパラメータに対する制限をつけた。 ヒッグス粒子の生成断面積に対する上限は、ヒッグス粒子の質量が90GeVに対して300pb、300GeVに対して10pbで、過去の実験で得られた制限を更新した。 プレプリ

2010年

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