2024年11月30日(土)、東京大学素粒子物理国際研究センター創立50周年記念式典・記念シンポジウム・交流レセプションを本郷キャンパス・伊藤国際学術研究センターにて開催しました。初代施設長や歴代センター長のご親族をはじめ、大学・研究機関の物理学者およびゆかりのある関係者150名の参加を得て、記念行事を執り行いました。
午前中の記念式典は、石野雅也センター長の式辞により幕を開け、相原博昭東京大学理事・副学長の挨拶の後、文部科学省研究振興局長の塩見みづ枝氏によるビデオメッセージ、高エネルギー加速器研究機構長の浅井祥仁氏から祝辞を頂戴しました。
続いて、東京大学名誉教授の小林富雄氏より50年を振り返るスピーチがあり、ICEPPとともに研究人生を歩まれたお立場から「国際共同実験と素粒子の標準理論の検証」の解説をはじめ、若手研究者時代の苦労話、ヒッグス粒子発見のサクセスストーリーを紹介していただきました。最後に、神戸市公立大学理事長の武田廣氏より閉会の言葉があり、次の50年に期待とのエールを頂戴しました。


午後の記念シンポジウムでは、国際共同実験の枠組みを通じて素粒子物理の発展をリードしてきた50年を振り返るとともに、これから先に目指すべき未来像を提示するため、50-year journey with ICEPP/Voices from ICEPP Alumni/Future journey at ICEPP50の3部構成でプログラムを組みました。
1番目のプログラムの、半世紀の研究史を特集した50-year journey with ICEPPでは、村山斉教授(米国カリフォルニア大学バークレー校、東京大学カブリIPMU)に海外からオンラインで“珠玉のメッセージ”を届けていただき、続いて、ドイツやスイスでの国際共同実験で、その当時に強力なタッグを組み、今や世界的な重鎮となった物理学者6名による講演が繰り広げられました。







2番目のプログラムのVoices from ICEPP Alumniでは、駒宮研究室出身で、ICEPPポスドクを経て今年4月に京都大学准教授となった陳詩遠氏と、森研究室出身で、KEKポスドクを経て核融合分野のスタートアップ企業のマネージャーとなった西村美紀氏が登壇し、学生時代のエピソードやICEPPの魅力、卒業後のキャリアについて詳しくお話しいただきました。

“Lessons and Memories from ICEPP Driving Contributions Across Diverse Fields” 西村美紀博士(京都フュージョニアリング(株))
3番目のプログラムのFuture journey at ICEPP50では、寺師弘二教授がファリシリテータとなり、大谷航准教授、奥村恭幸准教授、飯山悠太郎助教、齊藤真彦助教がパネリストとして登壇し、自身の実験プロジェクトの観点から将来のICEPP像のプレゼンテーションを行ないました。

その後、今年6月に御逝去された駒宮幸男先生を偲ぶ会を開催しました。東大物理と日本の高エネルギー物理を大きく飛躍させ、素粒子物理国際研究センター長、高エネルギー物理学委員長、ICFA日本代表、リニアコライダー国際推進委員会(LCB)初代議長としてカリスマ的リーダーシップを発揮された駒宮先生の生前の活躍と功績、さらにそのお人柄について語り合いました。

閉会挨拶は高エネルギー加速器研究機構長の浅井祥仁氏に行なっていただき、“Global and more tight collaboration are only way for Future. ICEPP has the important role for establish of tight international collaboration.”の言葉で締め括られました。

最後の交流レセプションでは、ICEPP50周年記念イベントにご出席いただいた方々が一堂に会し、和やかな雰囲気の中で歓談の場となりました。参加者は、記念シンポジウムでの議論を振り返りながら、今後の素粒子物理学の展望についても意見を交わし、有意義な時間を楽しみました。ICEPP50年を彩った特別な1日は、盛況のうちに幕を閉じました。
ご講演ならびにご出席を賜りました先生方と関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。
プログラム
ICEPP 50th anniversary symposium(関連サイト)
記念誌
東京大学素粒子物理国際研究センター創立50周年記念誌 PDF(56MB)