小林富雄博士(素粒子物理国際研究センター・教授)「科学技術への顕著な貢献2012(ナイスステップな研究者)」を受賞

Prof. Kobayashi 欧州合同原子核研究機構(CERN)の大型ハドロンコライダー(LHC)実験に参加している、ATLAS(アトラス)日本グループが、文部科学省科学技術政策研究所が選んだ2012年の「ナイスステップな研究者」のうちの1組に選ばれ、2013年1月25日に受賞されました。

関連リンク

受賞式にて
小林富雄教授(写真右)

小林富雄先生の「科学技術への顕著な貢献2012(ナイスステップな研究者)」受賞への祝辞

このたび、東京大学・素粒子物理国際研究センターの教授である小林富雄博士が、文部科学省の「科学技術への顕著な貢献2012(ナイスステップな研究者)【国際交流・協力部門】」を受賞されました。 心からのお祝いを申し上げます。

小林富雄博士は、長い間、素粒子物理学実験の基幹的な研究である最高エネルギーの加速器を用いた国際共同実験(エネルギーフロンティア実験)で数々の成果をあげてこられました。 1970年代終わりから80年代初期には、ドイツのハンブルクにあるドイツ・シンクロトロン研究所(DESY)での電子陽電子コライダー(PETRA) を用いたJADE実験に参加されて、強い相互作用を媒介するゲージボゾンである グルーオンの発見に重要な貢献をされました。
1980年代の半ばからはジュネーブのCERNに研究拠点を移されて、電子陽電子コライダーLEPでの OPAL実験に参加され基幹検出器である電磁カロリメータの建設を行い、また、多くの物理解析にも貢献されました。1990年代からはCERNに建設される陽子・陽子コライダーLHCでの 実験の重要性にいち早く着目し、実験提案の当初から参加され、現在約3,000人を超える研究者の参加する大型国際共同実験ATLASの我が国の代表として実験を牽引し、采配を振るわれました。
彼の長年の指導と努力によって、また彼の指導の賜物である次の世代の研究者の献身的な研究活動によって、昨年7月の世紀の大発見である「ヒッグス粒子」の発見が成し遂げられたことは、素粒子物理学分野 の誇りとするところであります。我々はこの発見を「7月革命」と呼んでいます。
東京大学・素粒子物理国際研究センターは全国共同利用・共同研究拠点として、今後ともエネルギーフロンティアでの国際共同大型実験を牽引してまいりますが、今回の小林富雄博士の受賞は大いなる励み となるものです。小林富雄博士の益々のご発展をお祈り申し上げます。

素粒子物理国際研究センター・センター長 駒宮幸男


〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1理学部一号館
東京大学素粒子物理国際研究センター
(電話)03-3815-8384 (ファクス) 03-3814-8806
hisho@icepp.s.u-tokyo.ac.jp