現在、標準理論は大変に成功していますが、素粒子物理の、より根源的な理解のためには、標準理論を超えた新しい理論が必要となります。そうした中、現在、最も有望視された理論というのが、超対称性理論(Supersymmetry ; SUSY)です。
超対称性というのは、フェルミオンとボソンの間における対称性を意味します。この対称性を仮定した場合、クォークやレプトン、ゲージボソンなどの基本粒子には、そのペアの粒子となる超対称性粒子が存在すると予言されており、例えば、電子に対しては、「超電子」とよぶべきボソンの存在の可能性が指摘されています。
モデルによれば、この超対称性粒子は質量が重いため、現在までの加速器実験では生成されたことがないとされており、その発見は、次世代実験に委ねられています。超対称性理論では、ヒッグス粒子の質量がWボソンやZボソンと同じ100GeVスケールになることを説明できるほか、素粒子世界の3つの力(電磁気力、強い力、弱い力)の統一も可能になります。超対称性粒子の発見により、このような、標準理論を超えたシナリオが大きく広がる可能性もあるため、LHC実験でのSUSY検証には、強い期待が集まっています。