標準理論では、全ての基本粒子にどのようにして重さが生じるのかという問題を、ヒッグス機構とよばれるシステムによって説明しています。これによると、真空は、何もない状態ではなく、ヒッグス場で満ち満ちた状態となっており、素粒子が、真空中でこのヒッグス場と相互作用することで、粒子に質量が生成されると考えられています。
もし、ヒッグス場がある場合には、現在まで発見されたことのないヒッグス粒子も存在することとなり、十分高い衝突エネルギーであれば、加速器において、真空中から人工的にヒッグス粒子を作り出すことも可能になります。LHCの前身であるLEP実験でのデータからは、ヒッグス粒子の質量が、100GeVから200GeVくらいにありそうであるといわれており、ヒッグス粒子がLHC実験で発見される可能性は非常に高いというのが、研究者の間でも、主流の考えとなっています。