東京大学では、学部及び附置研究所などが参加する「オープンキャンパス」を8月初旬にオンラインで開催していますが、素粒子物理国際研究センターでは、昨年に続いて単独で、高校生向け「サマーオープンデー2025」を8月4日(月)にハイブリッド形式で実施いたしました。
当日は暑いなか、素粒子物理に関心の高い学生の皆さんや保護者の方々に多数ご参加いただき、約3時間にわたって様々な角度から知識を深めていただきました。これからの進路を真剣に考えている皆さんにとって、有意義な一日になっていれば幸いです。ありがとうございました。
当日の様子
イントロダクション:素粒子物理国際研究センターの紹介
開催にあたって、石野雅也センター長が全体説明を行ないました。
センターが歩んできた50年の歴史や国際共同研究に立脚した各実験プロジェクトの特徴を紹介するとともに、世界中の物理学者に共通する究極的な目標・課題「宇宙はいかに始まったか?」「物質を構成する最小単位の“素粒子”とそれらの間に働く力は、なぜそうなっているのか?」を解明するための3つのアプローチ方法(直接探索、間接探索、望遠鏡)、物理学の学問的な領域の広さについてのお話しがありました。
模擬授業:素粒子と宇宙の謎に迫る大型加速器実験
1限目は、LHC物理に代表される「エネルギーフロンティア実験」をテーマに、田中純一教授が講義を行ないました。
物質の基本構成要素や素粒子物理の標準理論、宇宙誕生のはじまり、「ウロボロスの蛇」が描く極大の宇宙と極小の素粒子を繋ぐひとつの世界といった専門的な話題や、ICEPPが参加するCERNのATLAS実験の概要や2012年に発見したヒッグス粒子にまつわる国際協力のパワーと日本の貢献、そして、2人の提唱者が2013年ノーベル賞のスピード受賞に至った物理的な意義が紹介されました。
「粒子と波の性質をあわせ持つ物理量の最小単位である量子とは何か?」「量子もつれ(エンタングルメント)に見る量子特有の性質とは何か?」に始まり、古典コンピュータとは全く異なる原理に基づいて動作する次世代の計算技術「量子コンピュータ」の仕組みや、センターが取り組む量子技術(ソフト・ハード)を用いた素粒子の応用研究の内容が紹介されました。
また、同時進行で3つのグループに分かれて、センター内に設置している計算機室の施設見学も行ないました。