スイス・ポールシェラー研究所(PSI)で進めてきた国際共同実験MEG IIは、2026年9月24日に5年間のデータ取得を終了しました。今後は最終結果の公表に向けた本格的なデータ解析が進められます。
MEG II実験では、実験装置の性能向上と安定した運転により、既に解析結果を公表した2021~2022年のデータを大きく上回るデータを取得しました。さらに、機械学習を用いた陽電子の再構成手法の改良によって、解析効率の約20%向上が見込まれています。これらの成果により、最終的には現在公表している結果に比べて4倍以上の感度向上が期待され、いよいよ10-14台の崩壊分岐比に迫ります。現在、研究チームは取得した膨大なデータの解析を進めており、まず2023~2024年取得分の解析結果の公表に向けて取り組んでいます。その後、2026年までに取得した全データを対象とした解析を進め、数年以内の最終結果公表を目指します。
これまでに解析したのは2021~2022年データ(緑色の棒グラフ)、2023年以降のデータ(黄色の棒グラフ)の解析が現在進行中である。
MEG IIの終了はゴールではなく、新たな挑戦の始まりです。
μ→eγ崩壊が確認されれば、標準理論を超える新しい物理の存在を示す確実な証拠となります。さらに、発見後にはその起源を解明するため、角度分布などの詳細な測定が不可欠となっていきます。そのため研究グループでは、より高い感度を備えた次世代実験の検討・開発も既に着手しています。2026年1月には、新実験の構想をまとめたLetter of Intent(趣意書)をスイス・イタリア・ドイツ・英国の研究者と共同で提出し、PSIの国際研究委員会から高い評価を受けました。
MEGおよびMEG II実験は、20年以上にわたりミューオンを用いた「荷電レプトンフレーバー物理」を開拓、牽引してきました。現在、PSI、日本のJ-PARC、米国フェルミ国立加速器研究所において関連する実験計画が進められており、今後数年でこの分野は大きな発展を迎えることが期待されます。
MEG II 実験は果たして、素粒子の大統一理論、ニュートリノ質量の謎、そして宇宙の起源について、一体どこまで迫ることができるのか。世界中の研究者が、MEG II実験の最終結果とレプトンフレーバー物理の未来に大きな期待を寄せています。
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MEG/MEG II experiment: 公式ウェブサイト