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奥村研究室 近藤翔太氏がATLAS Week 2026でPoster Awardを受賞

ATLAS Weekは、検出器の運転やトリガー、実験データのオンラインリアルタイム処理、物理解析、将来実験計画のための検出器アップグレードなど、特定のタスクを集中的に議論するために多くのワーキンググループを編成し、年に数回、定期開催されています。第一線の研究者から大学院学生までが毎回参加しており、ATLASコラボレーションの優れた実験結果の背後にある原動力となっています。今年最初のATLAS Weekは、2月16日~20日にCERNで開かれ、最新の研究成果の発表と活発な議論が交わされました。

ATLAS Week 2026 at CERN

研究課題

Search for higgsino with compressed mass spectra using low pT tracking ポスター発表資料

受賞対象の研究について

本研究では、LHC-ATLAS実験のデータを用いて、超対称性理論から存在が予想されるヒグシーノの探索を行っています。素粒子物理学の標準模型(SM:Standard Model)は多くの実験結果と非常に高い精度で一致していますが、ヒッグス粒子の質量がカットオフスケールの二乗で発散する階層性問題や暗黒物質の存在など、SMでは説明できない課題を抱えています。“超対称性理論”はこれらを解決することができる有望な理論で、本研究で探索するヒグシーノはこの理論から予想される“ヒッグス粒子の超対称性パートナー”です。このヒグシーノが最も軽い超対称性粒子(LSP:Lightest SUSY Particle)であり、かつ、その質量固有状態が縮退しているようなシナリオは、Naturalnessを満たすことやLSPが暗黒物質の候補となることから、素粒子物理学の新たなパラダイムを切り拓く研究として強く動機づけされています。
本研究は、ATLAS実験の飛跡再構成における横運動量下限値500MeVを下回る飛跡を再構成し解析に使用することで、これまで横運動量下限値の存在で感度が制限されていた、チャージーノとLSPの質量差500MeV未満の領域での探索感度向上を目指しています。私は、Monte Carlo Simulationを使って信号飛跡数の増加を見積もった結果をまとめ、ポスター発表を行いました。

感想と今後の抱負

国際会議の場でこのような賞をいただけたことを大変光栄に思います。今回の受賞は、熱心に指導してくださる指導教員の奥村准教授を始めとする研究室メンバーの皆様、ATLAS Japanの皆様のお力添えのお陰だと思います。この場を借りて皆様に心より感謝申し上げます。
この研究は始まったばかりです。今後、横運動量下限値の引き下げに伴って増加した背景事象の削減など、難しい課題に取り組んでいかなければなりません。それらの課題を一つ一つ突破し、良い物理成果を世界に発表できるように頑張っていこうと思います。