C02班進行状況報告

超対称ゲージ理論と精密測定の物理

`` 超対称ゲージ理論と精密測定の物理 ''では、精密測定と密接に関連した散乱問題の一般化とその応用、標準模型を越えるモデルに関する非摂動効果の解明等の研究なされ、現在も進行中である。

( i)

精密測定では、粒子の運動量を変数とする通常の散乱振幅に加えて、座標と運動量との測定に対応する新たな散乱振幅が必要となる事がある。この散乱振幅の定式化を行ない具体的な現象に応用した。

ニュートリノ振動実験や、LHC実験を初めとする大測定器を使う高エネルギー実験では、粒子の運動量だけでなく粒子の位置の情報が得られる。このような測定に対応する散乱振幅の定式化を、不確定性関係と整合性をもち運動量や位置が有限な精度で決められる場合に行なった。これに基ずき、ニュートリノ振動が解析された。さらに、ニュートリノに関する様々な現象や、レプトンの精密実験、LHC実験における準安定粒子の効果の解明等の研究が進んでいる。

( ii)

超対称ゲージ理論における対称性の破れや、超弦理論におけるコンパクト化とそれらの物理効果等に関する研究が進行中である。

標準理論を越えるモデルとして、N=1超対称な理論における超対称性の破れの解明を行なっている。N=1超対称ゲージ理論において、hidden sector の効果から超対称性の破れを導く。特に、特異な非摂動的効果による破れの機構や、現象論の解析を行ない、簡単な模型における複合場への効果、超対称恒等式による非摂動効果への制限をえた。これを他の手法と組み合わせることにより、これまで認識されていなかった補正効果をえた。

さらに、N=1カイラルゲージ理論に主眼をおきながら、超対称ゲージ理論におけるダイナミクスと非摂動効果について研究を行っている。この理論においてはポテンシャル項には非摂動的補正しか存在しないが、ダイナミクスの問題は取り扱いが難しく、現在研究成果をまとめているところである。

( iii)

 超弦理論を、新たなコンパクト化に基づいて研究し、これが厳密に解けるモデルとなっている可能性を確認した。岩沢多様体上の超弦理論は、無限この保存量をもち、可解である可能性を得た。

 また、弦の場の理論を厳密に解析する手段を使い有効作用を求めた。開いた弦に対しては厳密な結果を得、閉じた弦に対しては摂動論的計算を使い解析的に求めた。 これには、弦の場の理論において最近わかってきた現実の物理量の計算を厳密に解析する手段を使った。


本ページに関する問い合わせ先:東大素粒子センター・坂本 宏sakamoto@icepp.s.u-tokyo.ac.jp

2006年6月23日更新