大学院生 久松康子氏が低温工学会優良発表賞を受賞

受賞発表題目
「液体Xeカロリメータ用光電子増倍管の低温における性能評価」

東京大学素粒子物理国際研究センターでは、素粒子物理の大統一理論を検証するため、 スイス・ポールシェラー研究所において、国際共同実験 MEG (実験代表者:森俊則教授)を現在準備中です。

この実験では、これまでにない高い精度を達成するため、 新しく開発した液体キセノンを用いたガンマ線検出器を使用します。 この検出器にガンマ線が入射すると、キセノンから紫外光が発生しますが、 その光を液体キセノン中に設置した光電子増倍管によって捕らえます。

久松氏の発表は、この液体キセノン中で動作する光電子増倍管の開発に 関するものです。

液体キセノンはマイナス110度の低温に保持されるため、光電子増倍管は そのような低温で十分な感度を持つ必要があります。そのため、当センターでは、 浜松ホトニクス(株)、早稲田大学総合理工学センターと共同で研究開発を行ってきました。 光電子増倍管には、光を電子に変換する「光電面」とよばれる部分がありますが、 この光電面への改良や、「ブリーダー回路」と呼ばれる電気回路の設計への工夫により、 低温での使用に耐えると期待される光電子増倍管が完成しました。
東京大学においては、液体キセノンを安定に保持するに最適な冷凍機である 「パルス管冷凍機」を用いて、光電子増倍管の性能評システムを構築し、 完成した光電子増倍管のテストを実施しました。
久松氏はこのテストを担当し、マイナス110度の低温においても、 光電子増倍管が十分な感度をもつ事を示し、結果を低温工学会にて発表しました。

なお、この研究は文部科学研究費補助金(特定領域研究)によって行われました。
last update 2005.6.23



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