光子(電磁波)が電磁気力を媒介する様に、グルーオンは 「強い相互作用」を伝える粒子である。 強い相互作用の理論である量子色力学(QCD)によると、 電子が電磁波を放出する様に、クォークがグルーオンを放出することが 予想される。
高エネルギーの電子・陽電子消滅反応から作り出されたクォーク・反クォーク対は、 2本の細い粒子の束(ジェット)となって反対方向に飛び出してくる。 もしグルーオンがクォークによって放出されると、グルーオンも1本の ジェットとなり、結局3本のジェットから成る事象として観測される (上図参照)。
1979年に米国フェルミ研究所において開かれたレプトン・光子国際会議では、 上記4実験がそれぞれ独立に3ジェット事象の観測を報告し、 グルーオンの存在を確立した。 (発表は、折戸(JADE)、H.B. Newman(MARK-J)、Ch. Berger(PLUTO)、 G. Wolf(TASSO)のそれぞれによってなされた。)
QCDはまた、グルーオン自身によるグルーオンの放出も予想する。 これは、4ジェット事象となって観測される。 このいわゆるグルーオンの自己結合の研究は、PETRAでは困難であり、 高エネルギー物理学研究所のTRISTANやCERN研究所の LEPによる実験によって 後ほど行なわれた。