活動報告

学生+若手研究者=∞の素粒子物理学
ICEPPの研究をオールラインアップで繰り広げた第1回ポスター発表会

第1回ポスター発表会

3月22日に第一回となる「ICEPPポスター発表会」を小柴ホールで開催しました。
ICEPPでは複数の最先端プロジェクトを国内外で並行して進めており、うっかりすると我々の日常は自身の研究プロジェクトに没入した状態になりがちです。しかしながら「すぐ近くに面白い物理・技術があるのに互いにそれを知らないのはもったいない。研究者間の交流を加速することで新しい発想・アイデアが生まれるかもしれないし、そもそも互いのやっていることを深く知れれば純粋に楽しいはず!」という期待のもとに本企画が持ち上がり、若手研究者3人が世話人となって実現しました。
その目的のため、普段は海外の研究拠点に常駐しているスタッフ・学生が日本物理学会2024年春季大会にあわせて多く一時帰国していることや、物理学会での成果発表の内容を負担なくそのままポスターとして発表できることから、学会直後の3月22日に開催日を設定しました。

Opening remarksとClosing remarks
第1回ICEPPポスター発表会Opening remarks(森教授、左写真)とClosing remarks(石野教授、右写真)の様子

企画の狙い通り、間もなくICEPPに入学する学部4年生から若手スタッフまで総勢28人のポスター発表があり、およそ60人が参加する大盛況な会となりました。そのためセッションは時間配分を考慮して3部構成(1部ごとに10人が発表)としましたが、各ポスターの前では1人対2~3人ではなく1人対5~8人にも及ぶ活発な議論が展開され、セッション交代の声が会場の隅々までは届かないほどでした。実験は違えど「物理」や「検出器技術」といった共通言語で話題が広がり、プロジェクトや研究室の垣根を超えた人の交流を図ったり、今後のさらなる研究の発展につながる貴重な時間となりました。
ICEPPの多くのメンバーが一堂に集まり、英知を結集して直接議論ができるこのような機会は非常に貴重で、今後も継続して開催されることを心待ちにしています。

新たなパッションを抱いた学生と若手研究者が、ICEPPの物理を継承していく

発表プログラム

Session1青木 匠 “ミューオンg-2アノマリーに基づいたLHC-ATLAS実験におけるスレプトン探索の背景事象推定”
飯山 悠太郎 “Application of qutrits on IBM quantum computers”
近藤 翔太 “高輝度LHC-ATLAS実験 ミューオントリガー後段回路におけるクロックの載せ替えの固定レイテンシーでの実装”
中山 和之 “Horizon Device: Black Hole Engineering”
成川 佳史 “Development of SoC based single board validation system for the HL-LHC ATLAS experiment”
古川 真林 “LHC-ATLAS実験における長寿命な遅いスタウの探索可能性評価”
牧田 藍瑠 “高輝度LHC-ATLAS実験に向けた初段ミューオントリガー回路に実装されるタイミングアライメントモジュールの量産のための品質試験”
森永 真央 “大規模なニューラルネットワークモデルによるジェットの事前学習について”
Randall Gladen “Pulse Pile-up Deconvolution Methods via Machine Learning”
Session2大矢 淳史 “MEG II first result and discussions about positron reconstruction”
加地 俊瑛 “量子回路最適化”
上曽山 健介 “Analysis of Data-encoding Induced Barren Plateau in Quantum Machine Learning”
Wu Jian “Efficiency correction study for a tagger for boosted H→bb/cc using Z→bb/cc + jets events in the LHC-ATLAS experiments”
張 元豪 “LHC-ATLAS実験における 非共鳴HH→bbττ過程の1bタグジェットを要求した事象の解析手法開発”
長坂 錬 “高輝度LHC-ATLAS実験に向けたTGCエレクトロニクスのコミッショニング・オペレーションシステムの開発と検証”
永野 廉人 “Simulating Quantum Field Theory via Quantum Algorithms”
西村 ダニエル “User Code Development with HLS”
村田 樹 “次世代電子陽電子コライダー用高精細シンチレータカロリメータの大型試作機のビーム試験 -性能評価-”
田上 理沙子 “ILCにおけるクォークのFlavor TaggingへのTransformerの応用”
Session3馬越 隆成 “MEG II 実験液体キセノン検出器用VUV-MPPCの放射線耐性に関する研究”
河野 匡 “Particle Flowとは”
齊藤 真彦 “Activity on Regional Analysis Center for LHC/ATLAS”
中山 和之 “Horizon Device: Black Hole Engineering”
杉崎 海斗 “Search for higgsinos with compressed mass spectra in final states with low-momentum leptons using 140 fb-1 of proton-proton collisions at √s = 13 TeV”
田中 碧人 “Improvement of estimation method of systematic uncertainty for background process in precise Higgs measurement of the Yukawa coupling to bottom quarks”
中園 寛 “SQUID型超伝導量子ビットによる周波数変調を用いたダークマターハロスコープ実験”
林 雄一郎 “LHC-ATLAS実験における低質量領域でのミューオン対共鳴探索でのガウシアン過程回帰手法の応用と評価手法の確立”
前野 伶太 “φ^4相互作用を含む実スカラー場における散乱現象の 量子アルゴリズムによるシミュレーションの実装”