東京大学素粒子物理国際研究センターは、去る5月12日に新たな船出を記念して文部科学省および素粒子物理研究者を招き、素粒子センター開設記念懇談会を山上会館で開催した。
素粒子センターはこれまでドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)、欧州原子核研究機構(CERN)での最高エネルギー加速器を用いた国際共同実験で素粒子物理における世界的な研究を進めてきたが、
平成16年よりCERNの大型陽子・陽子衝突装置LHCを用いた国際共同実験(ATLAS)を主な目的としてあらたな10年がスタートした。
素粒子センターは、ATLAS実験のための地域解析センターとして重要な役割を担うことになる。
懇談会には初代のセンター長である小柴昌俊東京大学名誉教授(現素粒子センター参与)、クォーク理論で知られる西島和彦名誉教授(同参与)、研究を支える文部科学省からは結城章夫文部科学審議官、
石川明研究振興局長、井上正幸学術政策局次長、石井利和量子放射線研究課長などが参加され、また、佐々木毅東京大学総長ら東京大学関係者が多数参加し、
国内外の先端基礎科学の現場で研究を進める素粒子研究者との懇談を行った。
結城文部科学審議官は「センターがLHC計画の中で中心的な役割を果たし、素粒子物理学の発展に寄与されることを期待します。」と祝辞を述べられ、佐々木総長も挨拶の中で素粒子センターに対する期待を述べられた。
最後に駒宮幸男センター長が「センターは総力を結集してエネルギーフロンティアにおける実験を今後も遂行していく。」との決意を述べた。
素粒子センターでは今後、2007年にも実験のはじまるLHC実験で素粒子の質量の起源とされる「ヒッグス粒子」および重力の謎を解き明かすと期待される「超対称性」の発見をめざす。
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