素粒子の「世代」数は3つ


我々の身の回りの物はすべて、2種類の素粒子からできている。 一つは電子とニュートリノで、まとめてレプトン(軽粒子)と呼ばれる。 もう一つはクォークで、これもアップとダウンの2つが あり、強く結合して陽子や中性子を作っている。 これら2つのレプトンと2つのクォークで、我々の身の回りの物質は 作られている。

ところが、高エネルギーの素粒子の反応を調べていくうちに、 このようなレプトンとクォークの組が他にも2つあることが 分かった。この3つの組をよく調べてみると、レプトンやクォークの 質量が異なるだけで、どの組に属する粒子も全く同じ性質を持っている ことが分かった。この「組」の事を素粒子の「世代」と呼んでいる。

それでは素粒子の世代は一体いくつあるのだろうか。 この問いへの答が、下図で示したオパール実験の結果である。

3 Generations

これはZ0粒子共鳴ピークを示したもので、 オパール実験によって測定された点(赤い点)が、 理論による計算と比べられている。

ニュートリノは各世代に一つずつあるので、ニュートリノの数を 求めれば、世代数が分かる。ニュートリノは非常に軽いと考えられる ので、Z0の崩壊から作られる。もしニュートリノの数が 多ければ、その分Z0共鳴ピークの幅が広く、高さが低くなる (上図参照)。そこで、このオパール実験の結果から、 ニュートリノの数、つまり素粒子の世代数が 正確に3であることが分かった。

素粒子の世代数がなぜ3なのかは、現在の素粒子の理論の枠内で 説明できず、今後の素粒子物理学にとって大きな課題となった。


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