DORISコライダーでのDASP実験
電子・陽電子コライダーを用いて素粒子の基本構造を探ろうという
東京大学理学部の計画は、昭和47年に遡る。その頃西ドイツ(当時)の
ハンブルグ市にあるDESY研究所(Deutsches Electron Synchrotron)に
建設中だった電子・陽電子コライダーDORISを用いたDASP実験
計画を立てた。
これは、この当時まだ良く理解されていなかった電子・陽電子コライダー実験の
重要性(新粒子の発見、および精密測定の両方に適している)を
見抜いていたという意味で、パイオニア的な実験であった。
昭和49年にはこの計画の国内根拠地として理学部附置の
高エネルギー物理学実験施設が5ヶ年の期限で設置され、
測定器の設計を始め、電磁シャワーカウンターの製作、
比例計数箱の開発・製作、ソフトウエアの作成等に当たった。
DASP実験はちょうどチャーム粒子発見直後に実験を開始し、
- 新粒子Pcの発見
- タウ粒子の確認
- チャーム粒子の崩壊過程の研究
等、数多くの成果をあげた。その際、東大グループの製作した電磁シャワー
カウンターは不可欠であり、また当グループは解析においても
中心的な役割を果たした。
hisho@icepp.s.u-tokyo.ac.jp