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Ayaka Matsushita

大谷研究室 博士課程2年

素粒子物理国際研究センターを選んだ理由は?

もともと素粒子実験に興味がありました。学部3年の時にICEPPの進学希望者向けのガイダンスに参加して、MEG II実験を知りました。MEG II実験は中規模実験であり、学生でも実験の根幹となる部分に関われる点が魅力的だと感じました。また、ハードウェアとソフトウェアのどちらにも関わりたいと思っていたのですが、大谷研究室のホームページに「測定器開発から物理解析まで幅広くこなせる実験物理研究者の育成を目指しています。」と書かれていたのも志望の決め手になりました。

実際に入ってみてどうでしたか?

研究室の先輩方は皆さん優しくて面白い方々で、毎日楽しく生活しています。研究室に所属した直後は装置の使い方など全くわからないことばかりでしたが、一つ一つ丁寧に教えていただきました。森・大谷研究室では修士1年の時にMEG II実験とILC計画についての勉強会をするのですが、どんな質問にも先生方やスタッフの方が答えてくださって、サポート体制が充実していると感じました。また、新型コロナウイルスの影響で修士1年の間はスイスのポールシェラー研究所(PSI)への渡航はできないだろうと思っていましたが、先生方やICEPPの秘書さんなど多くの方のおかげで、PSIへ渡航する機会を与えていただけて感謝しています。

学部生のころと比べて変わったと思う点は?

学部の頃はビーム物理の分野の研究をしていました。3人程度の少人数で実験をしていたので、それほど研究におけるコミュニケーションの重要性を意識したことはありませんでした。一方、MEG II実験は国際共同研究であり、さまざまな国から研究者が実験に参加しています。また、各検出器に対して研究グループが存在し、分業制で研究が行なわれています。そのため、自分が所属している検出器の研究グループ以外とのコミュニケーションが重要です。例えば、自分が作成したカウンターを使って実験エリアでデータを取ろうとすると、トリガーグループとコミュニケーションをとって調整を行なう必要があります。その際に、自分が意図していたことがうまく相手に伝わっていなかったり、相手が意図していたことと自分の理解に齟齬があったりすることがありました。そのような経験を通して、研究においてどのようにしてコミュニケーションを取るべきなのかということを意識するようになりました。

研究の楽しさと大変さは?

現在、MEG II 実験液体キセノンガンマ線検出器のセンサー較正および、時間分解能の時間較正用カウンターを用いた高精度評価の研究を行なっています。
検出器のセンサー較正は安定的な物理データの取得に必要不可欠なものです。ビームタイム中は様々なトラブルが発生しますが、各センサーのパラメータをモニタリングすることによって検出器内部で何が起こっているのかを理解して対処し、物理データの取得に貢献できるのはとても楽しいです。一方、検出器の応答が理解できない時は大変だと感じますが、スタッフの方々から助言をいただきながら研究を進めています。
時間分解能評価の研究に関しては、自作したカウンターを用いたデータ取得を昨年行ないました。真心込めて作成したカウンターをインストールしてデータ取得ができた時は嬉しかったです。昨年上手くいかなかった点を踏まえ、今年はより安定的にデータを取得したいと思います。検出器の時間分解能は物理解析に必要なため責任を伴いますが、その分やりがいを感じます。
また、キセノン検出器グループを代表して国際会議に参加する機会も修士2年より増えました。世界各国から多彩な素粒子実験を手掛ける研究者が集結するため、多くの方とコミュニケーションを取ることで情報収集や新しい繋がりができ、とてもエキサイティングでした。

大学院の生活はどんな感じですか?

ビームタイム中はPSI長期滞在しています。修士課程1年の10月に初めてPSIに行ったのですが、それまで写真でしか見ていなかったMEG II実験の検出器を直接見ることができた時には感動しました。PSI滞在中は、朝は9時半ごろからオフィスや実験室で研究をしています。お昼ご飯は研究室の人と一緒に食べることが多く、夜は18時か19時頃にゲストハウスへ戻ります。また、ビームタイム中は週1回程度8時間のシフトがあります。東京で研究している時も、1日のタイムスケジュールはほぼ同じです。MEG II実験はリモート体制が整っているので、状況に応じて東京からリモートでシフトを行なうこともあります。生活面でも現地のスタッフの方々が手厚くサポートしてくださるので、毎日楽しく快適な研究生活を送ることができています。

将来は?

将来は宇宙開発に関われる企業に就職したいと思っています。素粒子実験と宇宙開発は関係が無いと思われるかもしれませんが、国際共同実験での経験は、同じく国際的な協力が必要な宇宙開発の分野でも活かすことができるのではないかと考えています。また、大学院で身につけたハードウェアやソフトウェアの知識は、宇宙開発の分野でも役立てることができると思っています。

素粒子物理国際研究センターを目指す学部生にひと言!

修士課程の学生でも海外に滞在して研究ができるICEPPの環境は恵まれていると思います。学部の時に想像していた以上に充実した大学院生活を送ることができています。素粒子実験をしたい、海外で研究してみたいという人は是非ICEPPを検討してみてください。