液体キセノン検出器を使う新実験をPSIのワークショップで提案

本センターの研究グループは超対称大統一理論を実証するため、「μ→eγ崩壊」を観測できる実験の検討を始めました。そのような実験に適した大量のミュー粒子を生成できる加速器を持つのは、スイスのポールシェラー研究所(PSI)だけです。そこで1996年にはPSIを訪れ、実験の実現に向けて国際的な議論を開始しました。1997年にPSIで開かれたワークショップ(Workshop on a new μ→eγ Experiment at PSI)では、μ→eγ崩壊の観測を目指す研究者が一堂に会し、折戸教授が液体キセノンガンマ線測定器を使う新実験を提案しました。この測定器は、液体キセノンから発せられるシンチレーション光を周囲のすべての面に敷き詰めた光電子増倍管により捉え(この構造から「ミニ・カミオカンデ」と呼ばれた)、ガンマ線のエネルギー・入射位置・到達時間を同時に精度よく計測できる、これまでにない画期的なガンマ線測定器でした。

折戸教授がPSIで提案した液体キセノン検出器の原理図 ©ICEPP
1998年頃に描かれた液体キセノン検出器のポンチ絵 ©ICEPP