ヒッグス粒子とボトムクォークの結合、ついに初観測

観測されたヒッグス候補事象のイベントディスプレイ ©CERN

素粒子の標準理論では、ヒッグス粒子は約60%の確率でボトムクォーク対へと崩壊し、最も生成されやすい信号です。しかし、実験的に観測が非常に困難なため、ATLAS実験の計画当初は不可能だと思われていました。LHCの予想以上の順調な運転により多くのデータが蓄積されましたが、機械学習技術を応用した新しい研究を行うことで実験的な困難を克服し、確度5.4σ(シグマ)の有意水準でヒッグス粒子とボトムクォーク対に崩壊している信号の観測に成功しました。そして、現在の精度で、観測値が標準理論の予想値と一致しているということも明らかにしました(8月28日プレス発表)。

2019年5月にイタリア・ジェノヴァで開催したATLAS H→bb Workshopでの集合写真。最前列右側より2人目は、International Organizing Committeeメンバーとしてワークショップを主催した増渕助教(Higgs bb解析グループ・コンビーナー)。©CERN