ヒッグス粒子をとらえる巨大で精巧なATLAS検出器の全容

8台の超伝導トロイダル型マグネットの中央にカロリメータを設置する直前の写真 ©CERN

ATLAS検出器は、巨大な超伝導トロイダル型マグネットを用いて、ミューオン粒子の運動量をカロリメータの内側で精度よく測定するように設計された装置です。大きさは直径25m、長さ44m、重さ約7,000tにもなり、装置が巨大化した理由は、陽子の衝突点から離れて測定することで、位置や方向の測定精度を高めるためでした。衝突点のごく近くに置かれた「内部飛跡検出器」、粒子のエネルギーと方向を測定する「カロリメータ」、検出器の最外部まで飛んだミュー粒子を精密に測定する「ミュー粒子検出器」などで、1.1億チャンネルの電気信号として獲り出されています。

ATLAS検出器概要図 ©ATLAS experiment
内部飛跡検出器 ©CERN
ミューオン検出器(シンギャップチェンバー) ©CERN
4テスラの超伝導磁石で日本がすべて開発しました。フレミング左手の法則のとおり、電荷を持っている粒子は磁場があると曲がります。この向きを飛跡検出器で正確に測定し、運動量を求めています。 ©ATLAS experiment