国・文化・宗教も超えて、心をひとつに

検出器のもとでATLAS実験グループ全体写真 ©CERN

高い横運動量のミューオンを選別するトリガーは、ヒッグス粒子などの新粒子探索において重要かつ基本的な手段です。ATLAS検出器の中央部はRPC(Resistive Plate Chamber)が用いられますが、より粒子頻度の高い前後方領域では厚さ2.8mm大きさ約2㎡の薄ギャップワイヤーチェンバー(TGC)3,588台を使い、その総面積は約6,000㎡にも及びました。本センターの石野教授(当時、助教)がイスラエルと共同で行ない、現場での作業にはイスラム教国パキスタンのエンジニアも複数加わりました。イスラエルとイスラム教国の国民が共同で作業を行なうのは、「おそらく世界でもきわめて稀なこと」と石野教授は当時を思い起こし、語っています。

共同作業をするイスラエルとパキスタンのエンジニアたちと ©CERN
建設途中のシンギャップチェンバー ©CERN