日本人の慎重かつ丁寧で質の高い仕事が積み重なりできた巨大検出器

地下実験室で組み上げられたTGC ©CERN

シンギャップチェンバー(TGC)はATLAS検出器の外側のエンドキャップと呼ばれる位置にあり、大きな運動量を持ったミュー粒子だけを選び出すために用いられます。2m四方の樹脂製の板を2枚組み合わせ、100種類もの小さな部品を置き、接着剤で貼り付けています。5年間にわたり約1,100枚を完成させたのは、パートの女性たち。少しのミスも許されない作業を集中して成し遂げた功績は、ATLAS実験グループ内で高く評価されました。高エネルギー加速器研究機構内で生産したTGCは神戸大学に送られ、宇宙線による検査を行い、正しく動作していることを検証した上でCERNへと輸送されました。

ATLAS建設に貢献した主な日本企業

東芝 超伝導ソレノイド、信号読み出し集積回路
浜松ホトニクス シリコン検出器
川崎重工業 LArカロリメータ容器
林栄精器 ワイヤーチェンバー
ソニー 検出器信号アンプ
ジーエヌディー トリガー用電子回路
フジクラ 耐放射線性光ファイバー
クラレ シンチレーションファイバー
有沢製作所 銅箔ポリイミド電極シート
研究者の指揮のもと製作が進行 ©CERN
製作後の検査作業 ©KEK