LEPからLHCへ、メイドインジャパンの技術力が実験成功の鍵を握る

LHCの主リングの超伝導ダイポールマグネットの溶接 ©CERN

エネルギーフロンティアを担うLHC計画には、日本の企業6社(古河電気工業・新日本製鐵・東芝・JFEスチール・カネカ・IHI)が開発・建設に参入しました。2012年のヒッグス粒子発見時、LHCプロジェクトマネージャーのリン・エバンス氏(現在、国際リニアコライダー(ILC)計画のリニアコライダー・コラボレーション(LCC)ディレクター)は「日本の技術なくしてLHCはできなかった」とその貢献を讃え、感謝の意を示しました。

LHCの大きな特徴として多くの超伝導磁石が使われ、陽子が走るパイプは電磁石の中心に収められています。超伝導磁石は陽子を光速まで加速したり、円形のカーブをうまく曲がるように方向付けできるという究極の性能を持ち合わせています。心臓部の超伝導ケーブルは銅の化合物からなり、強力な磁場を作り出すために不純物を徹底して取り除くという非常に難しい作業を要求されました。2004年9月、古河電気工業はCERNから栄誉ある「ゴールデン・ハドロン賞」を受賞しました。

LHCプロジェクトマネージャー、リン・エバンス氏 ©CERN
LHC超伝導ダイポール磁石(中央部) ©CERN
LHC超伝導ダイポール磁石 ©CERN
LHC主リングの超伝導ダイポール磁石の断面図 ©CERN