計画研究B03「 テラスケールの物理から超弦理論への展開 」

超弦理論は、素粒子の物理と重力とを統合する量子論の理論的枠組みとして最も期待されているものである。しかしながら、重力定数の値の小ささは、重力の量子論的効果を実験的に探るためには、テラスケールよりもはるかに高いエネルギースケールに達しなくてはいけない可能性を示唆している。その場合、重力や時空の量子理論や、そこから従う宇宙の発展を調べるためには、遠く隔たった理論と実験のエネルギースケールをつなぐ、強力な理論的研究が必要である。本研究は、そこを目指す。

低エネルギーでも観測可能であり、かつ超弦理論を本質的に用いて計算すべき物理量がいくつかあり、LHC でのテラスケール成果をあわせて、理論の実験による検証、そして理論とその真空のより深い理解が可能になる。また、コンパクト化にともなう高次元時空の力学を調べて、宇宙論と上記のような素粒子論とを一体とした研究が超弦理論の枠内では可能になる。

本研究は、実験に近い物理から、数学に近い超弦理論の解析までを一体として行うことで新たな突破口を開こうとするものであり、同様の研究を遂行できる環境や下地は世界中どこにでもあるものではない。ゆえに、研究目標の追求と同時に将来を担う人材の育成も行う。

研究組織

研究代表者 渡利泰山 東京大 数物連携機構 特任准教授 総括、現象論、超弦理論の応用、宇宙論
連携研究者 大河内豊 東京大 数物連携機構 特任研究員 超弦理論の応用、超対称性の破れ、強結合ゲージ理論
連携研究者 高柳匡 東京大 数物連携機構 特任准教授 超弦理論、ホログラフィー原理

(研究者、大学院生あわせて6名)