計画研究A03「素粒子標準模型の精密検証で探るテラスケール物理現象」

LHC では重心系エネルギー14TeV での陽子・陽子衝突反応により、ジェット及びW,Z 粒子等が数多く生成される。これらの粒子を使った未踏のエネルギー領域での精密測定からは、電弱相互作用・強い相互作用の理論検証だけではなく、測定結果と理論予想のズレからテラスケール物理現象への手がかりを得ることができる。

この間接探索は直接探索で探れない様な重い粒子もバーチャル効果で探ることが出来るので10TeV 付近までの新現象を発見できる。また、超対称性粒子等、新粒子・新現象の探索において、標準理論の理解、特にW/Z 生成過程の研究は、背景事象の予測に不可欠である。

この研究では、研究者それぞれの担当する検出器の能力をデータ解析で最大限に引出し、それらを組合せることで標準理論の精密測定を推進する。[ミューオン検出器(藏重、山崎、佐々木)、内部飛跡検出器(花垣)]

また、将来予定されているLHC アップグレードに於いては、ルミノシティーが増強され、10倍以上の高統計でW/Z 生成過程の研究を行うことが可能になる。しかし、膨大な背景事象からの効率的な選別が必須であり、特にW/Z からのミューオントリガーが鍵となる。そこで、次世代の高性能ミューオン検出器(藏重)とそのためのトリガー及び読みだしエレクトロニクス(佐々木、福永)の開発も、物理解析と並行して進める。

研究組織

研究代表者 藏重 久弥 神戸大 理学研究科 教授 総括、ミューオン検出器開発
研究分担者 佐々木 修 高エネ機構 素核研 教授 エレクトロニクス開発
研究分担者 山崎 祐司 神戸大 理学研究科 准教授 物理解析W/Z
研究分担者 花垣 和則 大阪大 理学研究科 准教授 物理解析 b-tagging
連携研究者 福永 力 首都大 理工学研究科 教授 エレクトロニクス開発

(研究協力者(研究者、大学院生)含め総計約30人)