MEG II Japan

ミュー粒子を使った
レプトンフレーバー物理研究の
グローバル展開

研究拠点形成事業 (Core-to-Core Program)

研究拠点形成事業とは

日本学術振興会が、我が国において先端的かつ国際的に重要と認められる研究課題などについて、我が国と世界各国の研究教育拠点機関をつなぐ持続的な協力関係を確立することにより、当該分野において世界的水準または地域における中核的な研究交流拠点の構築とともに、次世代の中核を担う若手研究者の育成を目的として、実施している事業です。

本研究拠点形成事業の概要

日本側拠点機関

東京大学・素粒子物理国際研究センター

日本側コーディネーター

東京大学・素粒子物理国際研究センター・森俊則

研究交流課題名

ミュー粒子を使ったレプトンフレーバー物理研究のグローバル展開

相手国及び拠点機関名

・スイス・ポールシェラー研究所(Paul Scherrer Institut)
・イタリア・国立核物理学研究所ピサ支部(Instituto Nazionale di Fisica Nuceare, Pisa)

実施期間

2018年4月1日〜2023年3月31日(5年間)

研究交流目標

スーパーカミオカンデによるニュートリノ振動現象の発見により、ニュートリノの仲間である電子やミュー粒子にも同様の現象が起こることが予想されている。そのような現象は素粒子の「大統一理論」とも密接に関係し、その研究は「レプトンフレーバー物理」と呼ばれて現在世界的に注目されている。そのレプトンフレーバー物理研究の口火を切ったのが、本事業の拠点機関となる東京大学・素粒子物理国際研究センターの研究グループである。本研究グループはスイス・PSI が持つ世界最強度のミュー粒子ビームラインにおいて、イタリアグループ共同開発した独創的な粒子測定器を使って、国際共同研究「MEG 実験」を実施してレプトンフレーバー物理研究を開拓してきた。2019年からは測定器アップグレードにより実験感度を向上させた「MEG II 実験」を開始する。それを追って欧州・日本・米国で MEG II 実験とは異なる角度からレプトンフレーバー物理に迫る Mu3e 実験、COMET 実験、Mu2e 実験の準備がそれぞれ進められている。
本事業では、(1)国際共同研究 MEG II 実験を実施してレプトンフレーバー物理をさらに究め、(2)追随する3実験のグループと研究交流を行ってレプトンフレーバー物理研究のグローバルなネットワークを構築し、相乗効果により研究の飛躍的な発展を図る。さらに、(3)これら最先端の研究現場で若手研究者の育成を行い、次世代のレプトンフレーバー物理研究のアイデアを育んでいく。
 

研究交流計画

上記の3つの目標を達成するために、共同研究・セミナー・研究者交流を活用していく。
共同研究では、PSI での MEG II 実験の実施とそのデータ解析が研究活動の中心となる。MEG II 実験の実験装置は2018年度より稼働する予定り、大強度ミュー粒子ビームと実験装置の立ち上げ・運用・較正を共同で実施する。大学院生を初めとする若手研究者を中心として、実験実施場所である PSI に派遣し、スイスとイタリアを始めとする研究者グループとの共同研究に参加させる。測定器の較正や物理解析の検討のため、イタリアや日本で研究のための会合を開く。
年に4回ほどセミナーを実施して、研究の進捗状況や研究成果について広く議論を行う。最初は MEG II 実験が中心となるが、他の実験の準備状況に応じて米国などの研究者も招いて他実験との研究交流を図っていく。大学院生など若手研究者に成果発表をしてもらう。次世代のレプトンフレーバー物理研究のアイデアについての議論も行っていく。
研究者交流では、主に各国の大学院生を中心に長期間にわたり相手側機関に滞在して、研究を通した交流を図る。また、各国の修士課程大学院生・学部生を主な対象として、PSI において最先端の実験装置と実験施設を使ったサマープログラムを実施する。
 

実施体制概念図

研究交流活動のハイライト

最新のハイライトについては、What's New もご覧ください。
 

2018年度

・2018年4月5日〜7日 東京大学・小柴ホールにおいて、本事業のキックオフも兼ねて国際セミナーを開催。
・2018年4月初旬より研究者交流のため、若手・学生の派遣を開始。
・2018年6月7日〜8日 スイス・ポールシェラー研究所にて国際セミナーを開催。
・2018年7月31日〜8月2日、8月21日〜22日 スイス・ポールシェラー研究所にて学生向けサマープログラムを実施。
・2018年10月30日〜31日 スイス・ポールシェラー研究所にて国際セミナーを開催。