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ATLAS実験における超対称性粒子の探索

図1:標準理論の粒子と存在が予想される超対称性粒子

超対称性とはフェルミオンとボソンの間に成り立つ対称性です。超対称性のもとでは、各々の粒子に対応した超対称性粒子が存在すると考えられています。超対称性粒子の質量は対応する元の粒子と縮退するはずですが、そのような粒子は実験で確認されていません。よって、超対称性が存在しているとすれば、それは自発的に破れていると考えられます。力の大統一などの観点から、1TeV付近で超対称性が破れている可能性もあり、ATLAS実験で超対称性の発見が成されるかもしれません。

 

図2:超対称性を導入することで可能となる力の大統一

 

 超対称性粒子がLHC加速器で生成された場合には、超対称性粒子は検出器にかからないために大きな横方向の消失運動量を伴います。重い超対称性粒子(グルイーノやスクォークなど)は軽い超対称性粒子に崩壊する際に、多くの横運動量の大きいジェットを放出します。よって、超対称性粒子を伴った事象の特徴として、大きな横方向消失運動量・高い横運動量を持った複数のジェット・レプトンの存在(レプトンのない現象もある)などが挙げられます。これらの特徴を持った事象は標準理論の範囲からでも起こりうるため、そのような現象は超対称性事象のバックグラウンドとなります。現在、標準理論からのバックグラウンドについても研究を行っています。