高エネルギー物理学研究者会議総会における将来計画検討小委員会の答申報告と議論

2012325日(日)1915分~20時頃 於関西学院大学


・答申報告(森)

序文、答申、タイムラインの箇所を説明。


・質疑

Q. (駒宮)

全体のバランス、論調について、声が大きい人が分量が多いようにも思えるが?

A. (森)

調整はしたが個別箇所の担当によって多少の違いは残っている。


Q. (小松原)

大規模計画としてILC、将来ニュートリノを基幹として取り上げて述べているが、

その理由を裏付ける記述がないように感じられた。物理の重要性からの判断か?

大型で長くかかる計画という観点か?

A. (森)

物理の重要性で動機付けられている。各々の項目の説明箇所で答申部分をサポート

するような文にしきれなかった点はあるかもしれない。


Q. (山中)

プライオリティの付け方についての議論はされたのか?

A. (森)

例えばILCやニュートリノは世界的にはどこかでは必ずやらなくてはならない、

やれるものだと考えている。日本でやる場合のプライオリティは状況に応じた

検討が必要。


Q. (横山)

1TeV以下程度にヒッグスなどの」という記述は、ヒッグスのみの場合でも

ILCをやるべきという意味か?

A. (森)

ヒッグスだけでもILCをやる意義は十分という意味。

Q. (横山)

SMヒッグスのみでもか?それはコミュニティとしての合意なのか?むろん、

小委員会内での同意はあるだろうが。

C. (山下)

SMかどうかは発見だけでなく詳細にスタディしてからしかわからない。

C. (駒宮)

今残っている低エネルギーの領域を考えるとSMのみだと言えるヒッグスは

否定されているのでは。

C. (山本均)

個人的にはヒッグスだけでも動機付けになると思う。

A. (森)

今後具体的な決断を要する時には、高エネルギー委員会を中心に、物理面

での検討をするミーティングなどをして、あらためて判断をするべき。

ILCが稼働するまでにLHCでどこまでわかるのかという研究も必要。


Q. (市川)

加速器に携わる方への質問になるが、今言われているコスト、技術としては

実現可能なのか?J-PARCの現状の例もあり、簡単なことではないと思うが。

A. (山本明)

今出されているのは20年にわたって実現に向けて積み上げてきたことで、

コスト概算もそれに基づいてきちんと作り上げてきた数字なので、信用

できないと言われても困る。健全な開発、健全な競争でコストダウン

(日本ではキャビティは当初の数分の1)や歩留まりの上昇を積み上げて

きたことは認めてほしい。


C. (山本明)

KEKは素粒子のみではなく、高エネルギーの意思だけでは必ずしも動かない。

加速器科学が科学分野を広く牽引するのだというスタンスをしっかり持って

考えるべき。

C. (鈴木KEK機構長)

高エネルギー研究者からはやりたいという意思ををしてもらえばよい。周り

の様子を見ながら進めることはKEKがやる。

C. (鈴木KEK機構長)

予算獲得の実現に向けたアイデアも高エネルギー委員会で検討すべき。

物理のポイントをきちんと示すことも重要。


C. (山内次期素核研所長)

J-PARCに関しては評価部会に向けて検討中。拙速かもしれないが、素核研

としてはJ-PARCでのミューオン・フレーバー物理の展開として、COMET

ビームライン(原子核実験用高運動量ビームラインからブランチ)の建設を

推進することを検討している。明日の高エネルギー委員会に諮るつもり。

J-PARC関連の第一優先度はもちろん加速器のデザインパワーの実現。


C. (相原)

評価部会は次期5年の実際計画を想定していて、まず来年度概算要求に関わる

事項。10年先を見据えた将来計画答申とはややスコープが違うことには注意。


以上。