「加速器の将来計画」質疑応答議事記録 (録音を元に編集) Q(小林)ストレッチャーを入れる時も含めて繰り返しは1.2秒を仮定しているようだが、繰り返しはどこまで 行けるのか?1.2秒サイクルというのは何かリミットがあるのか? A(小関)1.2秒というのが今確実だから示した。もう少しいけるかもしれない。 Q(小林)2Hzは? A(小関)2Hz(0.5秒)は厳しい。RCSは25Hzだとして120msecは入射のための時間。あとの加速と減速を 残りの0.4秒でやるというのは無理ではないかと思う。1Hz運転が限界だろう。今持っているシナリオ(RFパターン を含めて)は1.2秒サイクル。 Q(齊藤)遅い取り出しの話で、transverse RFを入れてスピルの時間構造を改善するということだが、100MHz くらいの周波数になれば実験にはあまり気にならなくなると思われるが、その可能性は? A(小関)exciterとアンプの両方を新調しないといけない。今、アンプを準備している。exciterは今はtune測定に 使う目的のもので兼用しているが、それをもっと速い繰り返しに対応したデバイスを入れることを検討している。 Q(齊藤)マルチパクタリング対策でコイルを巻いた部分の長さは2mくらい?さらに問題が出たときはパイプを コートするとかの対策をする? A(小関)理屈としてはそうだが、コイルを巻くことで回避できると考えている。 Q(増田)RCS 50Hz運転について、MLFの人は25Hzを望んでいるのではないかと思うが問題はないのか? A(小関)それはこれから相談しないとならない。特に50HzになるとMRがビームをもらった時の隙間が無視でき なくなってくる。一様性の観点で歯抜けが目立つ構造になってくるので、MLFのターゲットとして許されるかどうか も含めて検討が必要。 Q(阪大・佐藤)今回J-PARCで展開する高エネルギー物理学の展望ということで、それは加速器の展望に依っている と思うのだが、今回いろいろ見せられた展望はどのくらい信用してよいのか。例えばRCSは1時間の試験運転を元に LINACのアップグレードをすれば1MWになる計算だったと思うが、MRについてはシミュレーションとかで、 どのくらい信頼できるのか。 A(小関)今のところ145kW連続運転というのがMRの実績なので、本当にシナリオどおり行くのかというのは 気になるところはある。一つは激しいinstabilityが起こっていて、今はバンチごとにフィードバックを掛けて抑えて ながら145kWにこぎつけているので、これから強度を上げていく時にもいろいろな困難があるだろう。いずれにせよ、 示したようなシナリオを目指してやっていくということだ。 Q(阪大・佐藤)100kW、300kW、600kWといつ行くかによって物理のスケジュール、優先順位も変わってくる と思う。加速器の強度を上げる上でトライアンドエラーが必要な所、お金をかければできる所、とあると思うのだが、 例えばこういうタイミングでお金を投入すればここまではできるということは言えるか? A(小関)絶対とはなかなか言えないが、今示しているシナリオは非現実的ではないと考えている。現行電源で 数百kW、電源を入れ替えて1.2秒サイクルになった時に仕様値750kW、までは行けるだろう。その先、もし セカンドブースターリングを作ることができればさらに強度のジャンプが期待できる。 Q(阪大・佐藤)セカンドブースターは10年かかるような計画だと思われるので、勝算があるならば早く始めないと いけないと思うのだが、他の部分でももっとお金とマンパワーを加速器のチューンアップに集中させればアップ グレードのタイミングは早まるものなのか? A(小関)それはもちろん加速器もマンパワーがなくて困っているので、是非参入してもらって一緒に手を動かして もらえると大きなインパクトがある。 C(長谷川)ターゲット値から逆算してくると究極的にはイオン源がいくらビームを出せるかになるわけで、そこは 今イオン源グループが精力的に開発しているが、金をつぎ込めばというだけではないので、マンパワーや諸外国の 知見を取り入れてやろうと考えている。そこはいつとは言いにくい。性能がいいものができればどんどん取り替えていく。 Q(阪大・山中)ストレッチャー案はとても魅力的。示されたのは1.2秒サイクルで4サイクル分の時間にストレッチ する案だが例えば2秒に一度、0.7秒長で取り出す、というモードで走ることもできるのか? A(小関)それは可能。 Q(阪大・山中)そうした時にどのパワーまで出せるかは結局何がリミットしてどのくらいまで行けるか? A(小関)リミットするのはやはり取り出し部分の放射化。どこまで行けそうかは今数字を言うのは難しい。 C(冨澤)ハードウェアの方のアップグレードを考えていて、それがうまく行けばロスを低減できるのでビームパワー を上げられる。 A(小関)例えばlow Z物質で静電セプタムのリボンを作ることをやっている。そういったスタディにはユーザの方にも 是非参入して欲しい。 Q(小林)low Zにすることでどのくらいロスが減らせるのか? A(冨澤)数分の一くらいを考えている。カーボンのリボンができれば非常に大きな効果。 Q(徳宿)セカンドブースターも魅力的だが、今のRCS 3GeVを3.3GeVに少し上げることはできないか? A(小関)示したとおり、3.2GeVに上げるだけでかなり効果があり、それは検討している。今ネックになっていると 考えているのはRCSのbending磁石のDC電源で、そこは作り直さないといけない。そこだけだと2〜2.5億くらい? あとはMRの入射で、トランスポートラインは3.2GeVをクリアしているが、まだ未確認なのは入射セプタムのエディ カレント対策。いずれにせよ、3.2GeV入射はかなり魅力的な話。 Q(小松原)MLFは3.2GeVで問題ない? A(小関)トランスポートラインは問題ない。但し、実験サイドからどう言われるかはわからない。 Q(齊藤)ニュートリノも他の遅い取り出しの実験も一体最終的にどのエネルギーがよいのか? A(小関)それは加速器としても聞きたい。例えばMRのエネルギーがもっと低くてもよければ磁石の負荷は小さくなり、 繰り返しも上げられる可能性がある。