「Kの将来計画」質疑応答議事記録 (録音を元に編集)


Q(三原)標準理論値(SM)が1e-11にあって、new physics(NP)が1e-9から見え始める可能性がある
ということだが、1e-11以下に行ってしまうとSMがバックグラウンドになるのでNPはなかなか見えない、
たとえ100イベントためても統計エラーが10%程度あるのでそこでNPの議論をすることはなかなか難しい
のではないか。

A(小松原)NPで大きくなる場合と小さくなる場合がありうる。SMとNPの振幅を足してinterferenceの結果
こういう値になる。大きくても小さくてもSM予測値からずれが見えればそれはNPの寄与だ。

Q(三原)NPと言う場合SUSYも想定していると思うが、LHCが走ってリミットが700〜800GeVまで来て
いる状況でどこかの部分はもう起こりえない、例えば1e-9までは上がらない、ということはないのか。

A(小松原)たぶん何でもありだと思うのでsquark質量のリミットだけで結論付けられない。K->pinunuでは
trilinearカップリングAUという項が効いてくるのだが、LHCではそこは押さえられない。

Q(冨澤)将来的に遅い取り出しで300kWあるいは450kW欲しいという話だったが、遅い取り出しでパワーを
考える上で、ビームが取り出されている時間(〜フラットトップ)はどのくらいで考えればよいのか。それで
加速器のサイクルが決まり、どのくらいの粒子数を加速器に入れる必要があるかが決まってくるので、
そのあたりを教えて欲しい。high intensityになった時にduty factorをどれだけにしなければいけないか。

A(小松原)duty factorは強度が低いうちはあまり気にならないが、強度が高くなってきたら大きい方がよい。
100kWまで上がった所でその辺りのスタディをきちんとすることになる。300kWで走れる検出器デザインを
しているので我々自身としてはある意味楽しみな所。

Q(冨澤)100kWの時のスピル時間は。。。

A(小松原)今のままでよいが、、、6秒サイクル2秒取り出しよりはよくできますよね?

C(野村)データ量はパワーで決まっているので平均パワーとしては高く保ちたいが、瞬間レートはできるだけ
下げたい。だから加速が一瞬で終わってゆっくり取り出せるのがベスト。

Q(小林)瞬間レートがどのくらいまで許容できるかは議論されているのか?

A(小松原)KOTO実験デザインで300kWと言っているのは3.3秒周期、0.7秒取り出しで、その状況での
瞬間レートを評価している。ただ、今はスピルのスパイク構造によって平均の5倍くらいのレートになって
いるのは問題。

Q(小林)実験デザインが300kW、3年間のデータ量だが、100kWしか行かない場合は、、、

A(小松原)実際に作ったビームラインでKL数を測定した結果、デザイン値の2.3倍出ていることがわかっている。

Q(丸山)次期KL->pi0nunu実験でS/N〜5というのはどのくらい大丈夫か。

A(小松原)KOTOのS/N(〜2)はobservationのためのselection criteriaをかけたもの。measurementの時
にはS/N〜5になるselection criteriaでやりましょう、ということ。

Q(西川)450kWというのはマクロなduty factorを50%、例えば6秒サイクル、3秒取り出し、としても
900kW相当になるわけだが、、、

C(冨澤)0.7秒取り出しでもよいということなので、サイクルを短くすることでパワーを上げていける。

C(小林)0.7秒で300kW相当までしか取れない測定器なのだとしたら取れないということ。

A(小松原)測定器はアップグレードする。

Q(西川)それにしても遅い取り出しで取り出せるのか。ロスの問題。

C(小関)今のままでは、できない。

A(小松原)これからやらなければいけない課題。

Q(山内)KOTO step1でSMの3倍くらいのエンハンスがあるかどうか見たいというのはわかるが、10%の精度で
見る意味があるか?step1実験を続けて10イベントを見ればよいのではないか?

A(小松原)SMレベルであれエンハンスがある場合であれ分岐比の精度を十分にすべき。

Q(山内)ハドロン要素の不定性でリミットされる、、、

A(小松原)K->pinunuではその不定性は考えなくてよいくらい小さい。

Q(山下)NPがあった場合、SUSYでいろいろなパラメータでいろいろな観測・制限が出てきた時に、この分岐比測定で
決定できるわけではない。そうするとこの一つのモードの精度を上げるよりいろいろな手立てを講じる方が優先される
のではないか?

A(小松原)状況次第だろう。他も含めて見えてきて当たりがつけられればどこを見ようかという話になる。もし
ここしか見えていなければちゃんと測ることになる。Kだけ走れば何かがわかるわけではないが、逆に他の実験だけで
全てピンダウンできるわけでもない。

Q(小林)step2のためには絶対にハドロンホールの拡張が必要なのか?

A(小松原)測定器まで含めると現ホールの中に入りきる案がない。